エネルギー植物の形質転換技術及び組換え植物栽培施設での栽培技術の研究開発

エネルギー植物とは?

エネルギー製造を主目的に栽培される植物で,樹木などの木質系バイオマスや,サトウキビトウモロコシ,アブラナ,ミスカンサス.エリアンサス,ソルガムなどの草本系のバイオマスをさします.バイオマスとは,エネルギー源としての生物資源をさします.バイオマスは,再生可能である,貯蔵性・代替性がある,莫大な賦存量を有する,カーボンニュートラルであるなどの特性を持っています.当研究室では,特に草本系バイオマスのうち,多年生イネ科植物で特にバイオマス生産が高いと言われているエリアンサスやギニアグラス,全ゲノム解析が終了し,育種も進んでいるソルガムなどを対象にしています.下の図は,遺伝子実験センターの隔離ほ場において実際にエリアンサスを栽培した様子です,定植1年目の栽培特性を評価しました.現在はこれを越冬させ,2年目エリアンサスの栽培特性を評価しています.

 

エネルギー植物を利用すると,二酸化炭素の資源化(石油の代替)が可能になる.

石油などの化石燃料の消費による地球温暖化などの環境問題,将来の石油の枯渇などの問題に対処するために,代替エネルギーの探索が進んでいます.近年の研究から,上述したエネルギー植物は,石油の代替になり得る可能性があることが示されていますが,実用化するには,エネルギー植物のバイオマス生産能力を高めることや,バイオマスの効率的利用方法の開発など,越えるべきハードルがいくつかあります.そこで,我々は全国の他の大学や研究所と協力してエネルギー植物を利用して現在の社会的な課題である二酸化炭素の資源化を進めるための技術開発基盤を推進しています.当研究室は,バイオマス生産能力を高めるための分子育種のための技術開発を担っています.

エネルギー植物の形質転換系の構築に取組んでいます.

生産性が高くかつ工業原料(石油の代替となる)として利用しやすいバイオマス育種を行なうにあたり,環境ストレス耐性を付与するなど望む形質(遺伝子)を導入するを形質転換技術は重要な技術の一つになります.しかしながら,現在まで有効な系がなく,エネルギー植物の育種の律速になりえます.そこで,我々は,エネルギー植物の形質転換系の開発に取組んでいます.現在までのところ,ギニアグラスやエリアンサスにおいて再分化系を構築することに成功しています.

 

スーパーアグロバクテリウムの開発!

 

形質転換植物を作成するには,一般的に植物染色体への遺伝子導入と遺伝子導入した細胞の再生のプロセスを経る必要があります.形質転換系のない植物,あるいは再生はするものの形質転換ができない植物などで形質転換体を作成する場合,遺伝子導入のプロセスが律速になっている可能性があります.当研究室では,この律速を解消するために,遺伝子導入効率を高効率で行なうアグロバクテリウムを開発しています.アグロバクテリウムの感染時,植物は植物ホルモンや二次代謝産物を合成して,アグロバクテリウムの感染を抑制することが知られています.当研究室では,これらの物質の量を減少させる能力をアグロバクテリウムに付与することに成功しました.開発したアグロバクテリウムは,エリアンサスへの遺伝子導入効率を向上させます.