高付加価値トマトの開発・生産を目指して

トマトは,日本の食卓の洋風化に伴い急速に普及し,今や毎日の食生活を代表する野菜です.カロテン,リコピン,ビタミン,各種ミネラルなど,健康によい栄養素を多く含んでいることで最近注目されていますが,関係する遺伝子の種類や,代謝メカニズムなどまだまだ知られていない部分も多くあります.当研究室では糖・アミノ酸に注目してトマトの果実品質を高める研究を進めています.

デンプンでトマトを甘くする!

 灌水制限や塩類ストレス条件下でトマトを育てると果実の甘みが増すことが知られており,近年,フルーツトマト生産などで利用されています.この現象は,水分ストレスによって果実肥大が抑制され,果汁が濃縮されるためと長年考えられてきました.当研究室では果実が糖を蓄積するメカニズムを遺伝子機能の面から研究し,果実の糖蓄積において果実発達前期のデンプンの蓄積が重要な役割を果たすことを明らかにしてきました.現在,果実でデンプン蓄積に関与する遺伝子を絞り込み,それらが様々な栽培環境条件下でどのような制御を受けて働いているのか解明を進めています.将来的には,より甘い,より商品価値の高いトマト品種を作る育種技術の開発を目指しています.

GABAを多く含むトマトを作る!

 γ-アミノ酪酸(GABA) は抗高血圧作用やリラクゼーション作用があることから,近年,健康機能性成分として注目を集めています.トマトは野菜の中でもGABAを比較的多く含むことが知られており,健康食品素材として新たな利用が期待されています.当研究室では食品メーカーや公的研究機関と共同で GABA 高蓄積系統の選抜や生産方法の開発を進めています.また,トマト果実におけるGABA代謝制御機構を解明するため,代謝酵素遺伝子の単離や生理機能解析を進めています.
 将来的にはGABA 高蓄積トマト品種の作出と効率的にGABAを蓄積させる栽培・貯蔵技術の開発を目指しています.